Heart to Heart 外伝
To Heart 編
「志保ちゃん情報局 みんなのおねがい」
志保 「ヤッホ〜♪ みんなのアイドル志保ちゃんだよ〜♪」
誠 「誰がアイドルだって? 馬鹿も休み休み言えよな」
志保 「今日はヒロやあかりや誠達が、七夕の短冊にどんな願い事を書いたのかを、
バッチリとチェキしちゃうわよ〜ん♪」
誠 「おい、志保……」
志保 「ん? なによぉ? せっかくノッてきたところなのに〜」
誠 「取り敢えず、三つほどツッコミ入れていいか?」
志保 「い、いいわよ……」
誠 「一つ、落ち着いて人の話を聞け。二つ、お前に『チェキ』なんてセリフは似合わん。
三つ、人の願い事を調べたりするのはプライバシーの侵害だ」
志保 「そんなの気にする必要無いわよ♪
とにかく、ここにその短冊があるから、一人一人発表していくわよん♪」
誠 「持って来てるのかっ!? それこそヤバイだろうがっ!!」
志保 「別にいいじゃない。七夕飾りなんて、どうせ七月七日が過ぎたら、
あとは燃えるゴミの日に捨てられちゃうんだから」
誠 「お前な……そんなミもフタもない……」
志保 「というわけで〜♪ 早速、発表しちゃうわよん♪
まず、最初はヒロとあかりとマルチからね〜♪」
誠 「もう好きにしろ……」(汗)
浩之 『あかりとマルチの願いを叶えてやれますように』
あかり 『浩之ちゃんやマルチちゃんと、いつまでも一緒にいられますように』
マルチ 『浩之さんとあかりさんが、いつまでも仲良しでいられますように』
志保 「……平和ねぇ〜」
誠 「良いことじゃねーか」
志保 「でも、面白味も何も無いじゃない」
誠 「お前は七夕の願い事に何を求めてるんだ?」
志保 「それはともかく、ヒロとあんたって七夕の願い事まで一緒なのね?
誠 「俺とあいつの行動パターンが妙に似てるのは、
今に始まったことじゃね〜んだから、気にするなよ」
志保 「ま、別に良いんだけどね。
さあ、次は委員長こと保科さんにいってみましょ〜♪」
智子 『名前で呼ばれたい』
誠 「……切実だな」(汗)
志保 「……切実ね」(汗)
誠 「まあ、厳密に言うならば、文書の頭に『藤田君に』って付くんだろうけど、
それを書かないのが委員長さんらしいよな」
志保 「……何でクラスどころか学年の違うあんたが委員長って呼ぶのよ?」
誠 「ん〜……なんとなく」
志保 「…………次、レミィのを見てみましょ」
レミィ 『ヒロユキのハートを射止めるネ♪』
誠 「さすがレミィさん、大胆だなぁ」
志保 「でも、無駄な努力じゃな〜い? ヒロにはあかりがいるわけだし」
誠 「いや、わかんねーぞ? 何せ動く標的は絶対に外さないからな」
志保 「それはそうだけど……」
誠 「ま、あとは矢を射るのがハンターモードのレミィさんじゃないことを祈るのみだな」
志保 「そ、そうね……じゃあ、次は雛山さんを……あっ!」
誠 「ん? どうした?」
志保 「あ、あははははは……そういえば、雛山さんの短冊って無かったのよ」
誠 「――は? どうしてだ?」
志保 「七夕飾り作る余裕無いみたいで……」(汗)
誠 「…………」(泣)
志保 「…………」(泣)
誠 「……来年はさ、みんなで盛大にやろうぜ」
志保 「そうね……当然、雛山さんも呼んでね」
誠 「じゃあ、気を取り直して……次は葵ちゃんか?」
志保 そうよん♪」
葵 『今年こそ、綾香さんに追いつけますように』
志保 「葵ちゃんらしいわね〜」
誠 「特に『綾香さんに勝てますように』じゃないところが、なんとも……」
志保 「謙虚と言うか、なんと言うか……」
誠 「もっと自信を持って良いんだけどな〜」
志保 「次は本命の琴音ちゃんよ〜ん♪」
琴音 『既成事実(はぁと)』
志保 「…………」(大汗)
誠 「…………」(大汗)
志保 「……誰と?」
誠 「や、やっぱり浩之とじゃねーか?
しかし、さすがは琴音ちゃん……色んな意味で期待通りだな」(汗)
志保 「……葵ちゃんとだったりして」(ボソ)
誠 「やめんかっ!!」
芹香 『いつまでも、みなさんとお友達でいられますように』
誠 「おっ! 今度は芹香さんか?」
志保 「う〜ん……至って普通の内容ね〜」
誠 「…………本当に普通だと思うか?」
志保 「へ? どういうこと?}
誠 「その短冊……よ〜く見てみろ}
志保 「短冊がどうかした……って、何か妙な文字が書いてあるけど?」
誠 「それ……ゾンビで有名なブゥードゥー教の呪詛なんだよ」
志保 「…………」(滝汗)
誠 「な? 普通じゃないだろ?」
志保 「……つ、次にいくわよ」
綾香 『セバスチャンに勝つっ!!』
誠 「無理だろ、それは」
志保 「ピストルの弾だって筋肉だけで平気で弾き返しそうなあのセバスチャンに勝つなんて、
いくらエクストリームチャンピオンでもねぇ……」
誠 「……セバスの爺さんはフィリピンの人食い民族かよ」(汗)
志保 「ハッキリと否定できないところがなんとも……」
誠 「まあ、勝てるかどうかはともかく、互角のレベルにまでもっていく方法はあるけどな」
志保 「というと?」
誠 「ギャグキャラになれば、それで立場は同じだ」
志保 「……そこまでしたくはないでしょ?」
誠 「だよな……やっぱり……」
セリオ 『ワタシも浩之さんの家に……ポッ☆』
志保 「セリオ……あなたもなの……」
誠 「ってゆーか、短冊わざわざ『ポッ☆』って書くなよ。
こういうところが、なんて言うかセリオだよな」
志保 「そうね〜……んじゃ、次は雅史のね」
誠 「なんか、すっげー見たくないけど……」
雅史 「浩之や誠君とめくるめく薔薇の世界へ♪』
誠 「ビリビリビリビリビリビリッ!!」
志保 「破いてるし……」
誠 「あったりめーだっ!! 間違っても、こんな願い事が叶ってたまるかっ!!」
ひかり 『浩之ちゃんとスキンシップ♪』
誠 「お前、ひかりさんのまで……」
志保 「ひかりさん……どっかの誰かさんのせいで妙なことを覚えちゃったみたいね〜」
誠 「浩之の奴……いつか食われるんじゃねーか?」(汗)
志保 「あんただって、他人事じゃ無いなじゃない?
この二人がいるわけだし……」
誠 「はるかさんとあやめさんか……」
はるか 『三十代で……』
あやめ 『……孫を抱けますように♪』
誠 「やっぱり……そうきたか」
志保 「ってゆーか、まるで示し合わせたかのように、二人で一組ね」
誠 「まあ、あの二人だからな……」
志保 「この三人は、まったく同じこと書いてるわよ」
誠 「さくら達か? なんとなく、何が書いてあるか予想できるけど……」(汗)
さくら 『まーくんと……きゃっ☆』
あかね 『まーくんと大願成就♪』
エリア 『誠さんと初夜♪』
誠 「――ぐはっ!!」
志保 「確か、あんたの願い事って、ヒロと似たような感じだったわよね?」
誠 「あ、ああ……」
志保 「だったら、ちゃんと叶えてあげなさいよ〜♪」
誠 「…………そ、そういえば、フランはどんな願い事だったんだろうな?」
志保 「露骨に話題を逸らしたわね?
ま、いいわ……えっと、フランソワーズのは……」
フラン 『誠様とさくら様とあかね様とエリア様が、
いつまでも幸せであられますように』
志保 「さっすがはフランソワーズ……メイドの鑑って感じね〜」
誠 「…………」
志保 「――ん? あんた、何やってんの?」
誠 「内容が気に入らなかったから、書き換えてるんだよ」
志保 「どんなふうに?」
誠 「『誠様とさくら様とあかね様とエリア様、そしてワタシが、
いつまでも幸せでいられますように』ってところかな?」
志保 「あんた……やる事がちょっとクサイわよ」
誠 「やかましい……で、次は?」
志保 「みことさんのよ」
みこと 『まこりんとえっち♪』
誠 「近親相姦は犯罪じゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」
志保 「凄まじいわね……って、実は裏に続きがあるんだけどね」
誠 「……続き?」
みこと 『……というのは冗談で、早く孫を抱かせてね♪』
誠 「……やっぱり、母さんにはかなわん」
志保 「あたし達より、一枚も二枚も上手よね。
じゃあ、最後はあんたの父親である尚也さんの分よ」
誠 「親父のもあるのかよ……」
尚也 『そろそろ妹が欲しくないか? 我が息子よ』
誠 「勝手にしろっ!! ってゆーか、何で短冊に疑問符がついてんだよっ!?」
志保 「しかも『弟か妹』じゃなくて『妹』と断言してるところが、タダ者じゃないって感じよね」
誠 「で、母さん同様、裏にも何か書いてあるんだろ?」
志保 「よく分かったわね……」
尚也 『ふっふっふっふっ……、
お前の部屋に例の本が十二冊揃っているのはすでに調査済みだ』
誠 「あのクソ親父ぃぃぃぃぃぃーーーーーっ!!
もう勘弁ならねぇぇぇぇぇーーーーーっ!!」
志保 「ちょ、ちょっと誠っ!! 何処行くのよっ!?
まだシメのセリフが……って、言っちゃった。
ま、いいか……あいつがいなくてもそんなに変わんないし……、
それじゃあ、最後の最後に、あたしの願い事を発表して終わらせてもらうわね。
また来年をおたのしみに〜♪」
志保 『いつまでも面白い毎日が続きますように』
志保 「誠達と知り合いである以上、少なくとも退屈だけはしないでしょうしね〜」
――ちゃんちゃん♪
<おわり>
<戻る>