「うっ、ううう……どうして、俺ばっかりが、こんな目に……」
「うううう……また、美坂にフラれてしまった」
「ああ、北国の風が身に沁みる……」
「寒いよ〜、心が寒いよ〜」
「くそうっ! それもこれも、みんな、藤田の奴が悪いんだっ!」
「相沢め〜……あいつさえ、転校して来なければ〜」
「ううう、神岸さん……神岸さ〜ん」(泣)
「美坂〜、美坂〜、美坂〜」(泣)
「――んっ?」
「――んっ?」
雪が降っていた。
思い出の中を、真っ白い結晶が埋め尽くしていた。
一年振りに訪れた白く霞む街で……、
今も振り続ける雪の中で……、
俺は――
「うおおおぉぉぉっ!!」(ガシッ!)
「心の友よぉぉぉっ!!」(ガシッ!)
――1人の親友と出会った。
「いや〜、まさか、こんな所で同士と出会えるとはな〜」
「まったくだな。世の中、まだまだ捨てたモンじゃないぜ」
「よしっ! 今夜は飲もうっ!
二人の出会いを祝して、徹底的に飲もうっ!」
「そうだなっ! こうして、俺達が出会えたのは、まさに運命っ!
二人で力を合わせて人類の敵を倒せと、神が俺達を導いているに違いないっ!
「その通りだ、我が同士よっ!
二人で一緒に、相沢と、藤田って奴を倒そうぜっ!!」
「そして、愛する恋人を我が手にっ!!」
「はっはっはっはっはっはっ!!」
「あ〜っはっはっはっはっはっ!!」
・
・
・
「おっと、そういえば……、
まだ、我が同士の名前を聞いていなかったな」
「おおっ! 言われてみれば、確かに……、
初対面だというのに、他人とは思えなかったから、ついつい忘れていたぞ」
「俺は『矢島』って言うんだ……お前は?」
「おれか? おれは『北川 潤』だ」
「…………」(汗)
「…………?」
「……今、何て言った?」
「――は? 何のことだ?」
「名前だよ、名前っ! お前の名前だっ!」
「だから、おれの名前は『北川 潤』だよ」
「…………」(涙)
「…………???」
「う……」
「――う?」
「う……」
「――う?」
「裏切り者ぉぉぉぉぉーーーっ!!」
「ちょっと待て! 何でそうなるっ!?」
「お前なんか、お前なんか、」
親友でもなんでもねぇぇぇぇっ!!」
「と、とにかく落ち着け……」
「うわああああぁぁぁぁぁんっ!!」
ズドドドドドォォォーーーッ!!
「お〜い……戻って来〜いっ!」
――ちくしょう。
やっぱり、俺の気持ちを、
分かってくれる奴なんて、何処にもいないんだ。(大泣)
<おわり>
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