Heart  to  Heart   番外篇


  おしおき箱

     くのうなおき







「あ、もう7時ですね」

 マルチちゃんが壁にかけてある時計を見た。

 夕ご飯を作って、その後、浩之ちゃんの帰りを
待ちながら、二人でおしゃべりしていたら、一時間が過ぎちゃったみたい。

 でも、まだ浩之ちゃんは帰ってこない。
 テーブルの上に並べてある夕ご飯も手付かずのまま……、
 今日は同好会のある日だから、帰りは遅くなるのは分かっているんだけど。


「今日は、浩之さん捕まっちゃったみたいですね」


 マルチちゃんも、わたしと同じ事を考えていたようで、苦笑ぎみに言った。
 わたしも同意するように『しょうがないなあ』って顔をした。

「うん……多分、いや間違いなく捕まっちゃったみたいだね」

「それでは」

 マルチちゃんがちょっと、悪戯っぽく微笑んだ。

「うん、『今日のメニュー』を作ろうよ♪」

「はいっ!」

 そう言うと、マルチちゃんは紙とペンと箱を持ってきた。
 紙を短冊状にして、それに「メニュー」の内容を書いていく。

 あ、メニューといっても、夜食のじゃないよ。
 さてと、『今回』は何を書こうかなあ……?





「はわ〜〜〜〜〜! あかりさん、それはまた『きつい』内容ですねえ〜〜〜〜〜〜」

 マルチちゃんが、わたしの書いているのを見て、顔を赤らめて言った。

「え〜〜〜、だってせっかくわたし達が、
浩之ちゃんの為に心をこめて夕食を作って待っているのに、
浩之ちゃんったら浮気していて、まだ帰ってこないんだよ。
これくらいは当然だよ……ね?」

「そうですよね〜〜〜♪
やっぱりこれくらいの事をやってもらわないとダメですよね〜〜〜♪」

 うふふっ、と顔を見合わせて微笑らう。
 わたし達は、浩之ちゃんが本当に浮気してるなんて、思ってはいない。

 ただ、誰か他の女の子につき合わされているといのは本当のこと。

 同好会のある日は、決まって誰かに付き合わされて、
それでしばしば帰宅が遅くなったりする。

 だけど、それをわたし達は、怒っても、気に病んでもいない。

 浩之ちゃんのことなんかどうでもいいって事じゃない。

 それだけ、皆、浩之ちゃんが好きなわけで、浩之ちゃんの優しさを分かっていてくれるわけで、
わたしは、それをとっても嬉しく思ってる。

 それに、浩之ちゃんは、必ずわたし達の所へ戻ってきてくれる。
 いつも、そして、これからも……、

 わたし達もそれを信じている。

 …………と、言いつつも、半面ヤキモチを焼いてしまうのも事実なわけで、
だから、こんな風に、帰宅が遅くなる日は浩之ちゃんに『おしおき』するんです。

 わたし達が『して欲しいなあ』って思う事を、浩之ちゃんに選んで、してもらうのですが、
最近は『おしおき』が楽しみだから、『遅くならないかなあ』なんて思うこともしばしばなんです。(汗)

 だって、浩之ちゃんに、目一杯甘えられるんだから、それも仕方ないよね♪





 さ〜〜〜〜てと、今日はどんな風に、甘えさせてもらおうかな〜〜〜?
 ……えへへ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………じゅる…………、


「あ、あの〜〜〜……あかりさん、よだれが……(汗)」


 え? え? や、やだあ……、(ぽっ)
















「ちくしょ〜〜〜、綾香のやつめ。
こんな時間まで引っ張り回しやがってえ〜〜〜〜」

 時計を見たら、もう7時を過ぎていた。

 夕飯の時間を一時間も過ぎてしまったわけだ。
 こりゃ今日は『おしおき』確定だな……、

 同好会の練習が終わって、綾香にとっ捕まってゲーセンに付き合わされるわ、
それを寺女の連中に見られて、綾香の彼氏扱いわれるわ、
綾香のやつも調子に乗って、それを否定しやがらないから、オレが『釈明』するはめになって、
結局、喫茶店で、あかりとの事について根掘り葉掘り聞かれる羽目になって、
こんな時間になっちまったというわけだ。


「ただいま〜〜〜〜……」

 家に入って、居間を覗いてみる。

「むう〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」

「むう〜〜〜〜〜〜、です〜〜〜〜」

 恨めし気にオレを見つめる、あかりとマルチ。

 本気でないとは分かっていても、やはり待たせてしまったという後ろめたさが、
視線を痛く感じさせる。

「はい、『おしおき』を選んでね」

 膨れっ面の後ろにある、期待でわくわくしていますって顔を隠しながら、
あかりが『おしおき箱『と書かれた箱をオレの前に出す。

 ……今日は、一時間送れだったからなあ。
 どんな『激しい』のが書いてあるのやら……、

 と、思いながらも、なんだかんだで、オレも『期待』を抱いているのだが……、
 やれやれ、あかり達の『恥ずかしいウィルス』にオレも感染されたかな?

 箱に手を入れて、ごそごそと紙を探る。

 しかし、またたくさん書きやがって……、

 内心苦笑しながら、一枚を決める。

 引き出した「おしおき」の内容は……、










「三日間、食事を『あ〜〜〜〜〜ん』して食べる
(もちろん口移し付だよ♪)」











 …………。(汗)










そして、翌日――










「はい、浩之ちゃん、あ〜〜〜〜〜〜〜ん♪」


「お、おう……」


 パクッ、モグモグ…………ゴクン


「どう、女の子にこうしてもらって食べるお弁当って、とってもおいしいでしょ?」

「あ、ああ……とっても、うまいぜ……(汗)」

「うふふ〜〜〜、それでは、このウインナ-を♪」

「やっぱり……口移しなのか?」










「当然♪」










 ……うわ、あかりさんったら、浩之に食べさせるウインナ-をくわえちゃったぞ。

 ま、まさか……?
 ってやっぱり口移しで浩之に食べさせてるぜ……、(汗)
 しかも、そのままディープキスに移ってるし……、

 まさか、このまま……うわ〜〜〜! うわ〜〜〜!!
 何考えてんだ、俺のアホウ!!





 昼飯を、四人(しっかり制服を着てエリアもいるんだよな)で食おうと、屋上に出たんだが、
あの二人の熱々な『食事風景』の前に、屋上のドアから出る事が出来なかった。

 しかし、多分浩之のやつ、また『おしおき』を喰らったんだろうなあ。
 そうでなきゃ、学校でこんな『甘々すぎる』食事なんかしやしないだろーし……、

「……す、すごいですね……あの二人……」

 エ、エリア〜〜〜……息を荒くさせながら言わないでくれよ〜〜〜〜〜〜。(汗)

「わ、わたし達も負けてはいられませんね……」

 あの〜〜〜、『負ける』『負けない』の問題ではないと思うのですが……さくらさん……、

「あたし達は、三人で、まーくんに口移しで……きゃ♪」

 あかね〜〜〜〜〜〜、目が爛々としてるぞ……こりゃ、逃げられねえな……、








「ぐわ〜〜〜〜〜!!
ちっくしょお〜〜〜〜〜!!」









 突然、オレ達の背後で誰かが絶叫するのが聞こえた。
 なんだろうと思って振り向くと、男子生徒が走り去っていくのが見えた。

 あの後ろ姿って……?

「あれ? あの人なんでわめいていたのかな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

「さあ……なんでしょう?」








 ま、まあお前らは『覚えて』いるわきゃねーよな……、








 矢島よ、化けて出るなよ…………、(合掌)
















「まだ、死んでねえよ!!(泣)」 (矢島)
















終わる♪


 後書き

 う〜〜ん、こわいですね〜〜〜、あかりちゃんのおしおきは。(^^;;

 これでもまだまだ「軽い」方だというみたいなんですが、
更に重くなると、どんなことやらせるんでしょうね〜〜〜?

 は〜〜〜、どきどきですね〜〜〜〜〜。(^^;;


 ……STEVENさん、こんなものでどうでしょうか?(^0^)


<コメント>

さくら 「……と、いうわけで♪」(*^▽^*)
あかね 「あたし達も……♪」(*^▽^*)
エリア 「……作ってみました♪」(*^▽^*)
誠 「あー……はいはい。ンなこったろうと思ったよ。
   で、この中から一枚引けば良いんだな?」(−−;

 ガサゴソ……

誠 「よっと……えーっと、なになに……『大願成就』?!」Σ(@〇@)
さくら 「……(ポッ☆)」(*・・*)
あかね 「……(ポッ☆)」(*・・*)
エリア 「……(ポッ☆)」(*・・*)
誠 「ど、どうしろってんだよ……」(T_T)

 一方、デュラル宅――

フラン 「い、いけませんよね? こんな内容を書いては……」(*・・*)
ルミラ 「あら? 何やってるの、フランソワーズ?」(ひょい)
フラン 「ああっ! ダメです! ルミラ様!?」Σ(@〇@)
ルミラ 「ん〜? なになに……『ご主人様になってください』〜〜?」( ̄ー ̄)ニヤリ
フラン 「あうあうあうあう……」(*T_T*)

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